子育てにおける「思春期」は、子どもの心が内側に潜り込み親から見えにくくなる時期です。とりわけ発達障害の子どもにとっては、自身の特性と社会の要求が衝突するストレスの大きい時期であり、単なる成長の通過儀礼にとどまらない複雑な課題を抱え込みます。
発達障害の思春期を揺さぶる「3つのストレス」
思春期を迎えた発達障害の子どもは、主に3つの強いストレスに晒されています。
- 強まるイライラと衝動:ホルモンバランスの変化に加え、わずかな不快感で強く苛立つ「易刺激性」の特性により感情コントロールが難しくなります。激しい感情の裏で子ども自身も「どうしてこんなにイライラするのか」と困惑しています。
- 学習性無力感の形成:中学校での環境変化の中で失敗や叱責が連続し、さらに周囲とのコミュニケーション不足も重なることで、「どうせ怒られる」「理由がわからない」という無力感が定着し、投げやりな態度につながってしまいます。
- 複雑化する人間関係と「見えにくい」二次障害:場の空気を読むなどの曖昧なルールに適応できず、孤立を深めやすくなります。また、二次障害である「うつ病」が気持ちの落ち込みではなく「暴言・暴力」として現れ、単なる「反抗期」と誤解されて見逃されるリスクも高まります。
親の役割を「マネジャー」から「コンサルタント」へ
こうした困難を乗り越えるため、親側にも意識の「フルモデルチェンジ」が求められます。
幼少期には、障壁を取り除き自己肯定感を育む「マネジャー」としてのサポートが安心感を生む土台(安全基地)となります。しかし思春期以降も先回りを続けると、子どもにとっては過干渉となり自律を阻む恐れがあります。
大切なのは、支援のために組み上げた「足場かけ(Scaffolding)」を徐々に外して(フェードアウトさせて)いくことです。親が先回りを控えて失敗の責任を本人に負わせることで、子どもは自分の特性との付き合い方を学びます。これが、周囲に配慮を求めSOSを出せる力(セルフアドボカシー)の獲得へとつながります。
身近な障害を取り除く「マネジャー」から、障壁を自分で乗り越える選択肢を提案し自己決定感を高める「コンサルタント」へ。親の役割を移行していくことが、子どもの自立に向けた鍵となります。
引用したサイト: https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20260626-GYTET00002/
