「休職中のはずなのに、SNSでは趣味を楽しんでいる……」こうした姿が批判を浴び、「新型うつ」という言葉が広まりました。しかし、この言葉の裏には多くの誤解が隠されています。
メディアが作り出した「新型うつ」という虚像
まず驚くべき事実は、精神医学に「新型うつ」という病名は存在しないということです。この言葉は、2012年のメディア特集を機に爆発的に広まった造語に過ぎません。本来区別されるべき、医学的な「うつ病」と、一時的な「抑うつ状態」が混同されたまま社会に定着してしまったのです。
なぜ「元気そうな休職者」が生まれるのか
休職者が活動的に見える背景には、主に二つのパターンがあります。
一つ目は、特定の環境(職場等)に対する反応です。ストレス源から離れていれば心身が回復し活動的になれますが、根本的な環境改善がなされない限り、復職に向けた動きの中で再び症状が悪化します。
二つ目は、診断書の問題です。 本当は「双極症(躁うつ病)」であっても、初期の診断書には「うつ病」と記載されることが少なくありません。その後、病気の特性として非常に活動的な「躁状態」が現れた際、事情を知らない周囲からは「うつ病のはずなのに遊んでいる」と誤解されてしまうのです。
「薬」よりも大切な「ふつうの相談」
現代のメンタルヘルスにおいて、全ての悩みを「病気」として薬だけで解決することには限界があります。職場での人間関係に悩む人に必要なのは、薬以上に「話を聴くこと」や「環境の調整」かもしれません。
本人が「うつ病かもしれない」と受診することは、それ自体が切実なSOS(援助希求行動)です。精神科医には、単なる処方だけでなく、今の苦しみが医療的治療を要するものか、あるいは社会的な「相談」や環境改善が必要なものかを見極める役割が求められています。
私たちは「新型うつ」というレッテルで他人を判断するのではなく、一人ひとりの生きづらさに寄り添う、柔軟な支援の形を模索していくべきではないでしょうか。
引用したサイト:https://diamond.jp/articles/-/385980
